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女性特有の腰痛

厚生労働省は、国内の2800万人が腰痛に苦しんでいると発表しています(厚生労働省2015年国民生活基礎調査)。このことから、人口の約1/4の人が腰痛に悩んでいるということになります。

「腰痛」を日本整形外科学会は、次の様に上げています。

腰(脊柱)に由来するもの

先天異常や側湾症、腰椎分離症など主に成長に伴っておこるもの、
変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変性すべり症など主に加齢により生ずるもの、
腰椎骨折や脱臼などの外傷、カリエスや化膿性脊椎炎などの感染や炎症によるもの、
転移癌などの腫瘍によるものなどがあります。

腰以外に由来するもの

解離性大動脈瘤などの血管の病気、
尿管結石などの泌尿器の病気、
子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科の病気、
胆嚢炎や十二指腸潰瘍などの消化器の病気、
変形性股関節症などの腰以外の整形外科の病気によるものがあります。
加えて身体表現性障害、統合失調などの精神疾患や精神的なストレスによる心理的な原因による場合もあります。

詳しくお知りになりたい方は
「日本整形外科学会:症状・病気をしらべる 腰痛」

女性特有の腰痛

妊娠や生理など女性特有の原因で起こる腰痛もあります。
生理痛が強いと下腹部痛だけでなく、腰痛を伴うことがあります。

妊娠中は大きくなったおなかを支えるために体の重心が変わり、上体を反らせる姿勢になることが多いため、腰痛が起こりやすくなります。子宮が大きくなり、骨盤の周りの筋肉(体幹支持筋群)が引っぱられることも、腰痛の原因になることがあります。

産後も授乳や夜泣きの対応などの育児、家事に追われると、身体的・精神的な負担から腰痛が慢性化することもあります。
更年期になると体内ホルモンバランスが変わり腰痛をおこすことがあります。

東洋医学の考え

病気は、五臓のはたらきがバランスを崩したとき生じると捉えています。病気の原因の多くは外因(風・熱・寒・湿・燥)によって起こり、過度な七情(怒、喜、驚、思、憂、悲、恐)によっても五臓が傷つき病気が生じると考えます。

腰痛の要因:骨と筋(きん)は腎がコントロールしています。筋(きん)は関節にあつまり、腰は身体の要(かなめ)で、腎はその中心です。大きな筋(きん)は腰に集まっています。腰痛は腎につらなりますが、肝と腎、筋と骨の病気です。大抵の腰痛は腎虚によります。

東洋医学における分類
原因 症状
風湿 腎気が虚して弱り、風湿が原因となり、腰膝が引きつり痛み屈伸ができなくなり歩くことが困難
寒湿 寒湿が腎経を傷り腰が重く、痛く、尿量が多くなり、仰向けにもなれない、足ものばせない
気滞 冷たい気によって腰が痛み、仰向けにもなれない、足ものばせない、寝返りも出来ない
血滞 血が滞り腰が痛む。また、身体を急によじったり伸ばしたりして筋や腱を傷める
坐閃 高いところから落ち、或は鬱・怒・憂・思のため倒れ身体を打ち、気も血も滞り腰が痛む
腎虚 老人になると腎気が損なわれ腰が痛み、重く、屈伸ができなくなる
  • ※腎気:腎精の化生の気で、腎臓の機能活動、もしくは成長、発育及び性機能の活動をさす。
    腎精とは生殖機能のこと
  • ※※鬱・怒・憂・思:精神的ストレスのこと
  • (参考資料『大成論和語鈔』)

鍼灸による治療

当院に来院する方は、ぎっくり腰・椎間板ヘルニア・骨粗鬆症・圧迫骨折・脊柱管狭窄症・側湾症・朝のこわばり・精神的ストレス・過労・生理痛・子宮筋腫・産前産後の腰痛などです。

これらの腰痛は、風湿・寒湿・気滞・血滞・坐閃・腎虚・過度な七情等が原因になっています。その原因とバランスを崩している五臓はどれなのかを「望診・聞診・問診・触診(切診)」により見極めて、治療方針を立てます。

治療方針が決まりましたら、証に従って穴(ツボ)を選び、鍼と灸の施術をしていきます。

当院で行う経絡治療は、身体の一部だけでなく全体を治療し、五臓がやどしている精気(生命力)と神気(精神活動)が全身にみなぎり、日々のストレスに対して柔軟に対応できるようになることを目指していきます。


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