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パニック障害・不安障害

心療内科に通院してパニック障害と診断され、その後うつ病といわれた方が当院へ来院されています。
まず、現代医学的なことを見ていきましょう。

パニック障害・不安障害とは

今まで健康に普通に生活していて、思いがけないときに突然、動悸、息切れ、呼吸困難、めまい、吐き気などの発作が生じ、これが何回もくり返され生活に支障が出てくる状態をパニック障害と言われています。

このパニック発作は、死んでしまうのではないかと思うほど強くて、自分ではコントロールできないと感じます。そのため、また発作が起きたらどうしようかと不安になり、発作が起きやすい場所や状況を避けるようになります。とくに、電車やエレベーターの中など閉じられた空間では「逃げられない」と感じて、外出ができなくなってしまうことがあります。

(a)パニック障害の診断基準

強い恐怖または不快を感じるはっきりと他と区別される期間で、その時、以下の症状のうち4つ(またはそれ以上)が突然に発現し、10分以内にその頂点に達します。

1. 動悸、心悸亢進、または心拍数の増加
2. 発汗
3. 身震いまたは震え
4. 息切れ感または息苦しさ
5. 窒息感
6. 胸痛または胸部不快感
7. 嘔気または腹部の不快感
8. めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ
9. 現実感消失(現実でない感じ)、または離人症状(自分が自分でない感じ)
10. コントロールを失うのではないか、または気が狂うのではないかという恐怖
11. 死ぬのではないかという恐怖
12. 異常感覚(感覚まひまたはうずき感)
13. 冷感または熱感
(高橋三郎、大野 裕、染矢俊幸(訳):DSM-Ⅳ-TR精神疾患の分類と診断の手引き.医学書院より)

(b)パニック発作の状態

・病院で心電図や血圧などの検査をしても身体的な異常は見つかりません。
・多くの場合、10分以内にピークになり、30分から長くても1時間以内でおさまります。
・発作は何回もくり返されます。

パニック障害の症状

パニック発作がくり返されるうちに、発作に襲われることに対する予期不安や発作が生じる状況に対する広場恐怖を感じるようになり、毎日の生活に支障を来すようになってしまいます。

治療が不十分で病気が進行してしまうと、うつ病やうつ状態になることもあるといわれています。

  • パニック発作
  • 予期不安
  • 広場恐怖
  • うつ病・うつ状態
予期不安

パニック発作をくりかえすうちに、発作のない時も次の発作を恐れるようになります。「また起きるのではないか」「次はもっと激しい発作ではないか」「今度こそ死んでしまうのでは」「次に発作が起きたら気がおかしくなってしまう」といった不安が消えなくなります。これが「予期不安」で、パニック障害に多くみられる症状です。

このほかにも、いつ発作が起こるかという不安のあまり、仕事を辞めるなどの行動の変化が起きるようになるのもパニック障害の症状のひとつです。

広場恐怖

発作が起きた時、そこから逃れられないのではないか、助けが得られないのではないか、恥をかくのではないか、と思える苦手な場所ができて、その場所や状況を避けるようになります。

これを「広場恐怖」といいます。苦手な場所は広場とは限りません。一人での外出、電車に乗る、美容院にいくなど、人によって恐怖を感じる場所は様々です。広場恐怖以外に、外出恐怖、空間恐怖ということもあります。

広場恐怖が強くなると仕事や日常生活ができなくなり、また引きこもりがちになるので友達との人間関係にも影響が出てきます。一人で外出できなくなるので、人に頼っている自分自身を情けなく思う気持ちも強まっていきます。広場恐怖をともなわないパニック障害もありますが、多くの場合広場恐怖がみられます。

詳しくは 〈厚生労働省 知ることから始めよう みんなのヘルスケア〉をご覧下さい。

東洋医学の生理感

東洋医学(中国伝統医学)では、「こころと身体は一つである」という思想がありますから、こころの病は身体(臓腑・気血)のバランスの不調和から起きると考えます。

五臓とは、肝・心・脾・肺・腎の5つを指し、五臓には精神的な働きをする七神(魂、神、意、智、魄、精、志)と感情的な働きをする七情(怒、喜、驚、思、憂、悲、恐)があると中国伝統医学では考えています。

この五臓は、経絡と呼ばれる通路(ネットワーク)でつながり、心身を動かす気血(エネルギー)が流れています。

この七情の働きが過度になり病を引き起こし、五臓を傷つけてしまい病を引き起こす内傷と、外的環境による風・熱・寒・湿・燥の影響を受けて病が生じる外傷に分けます。気血の流れが滞ったり、不足すると次の様な症状があらわれます。

①「気血」が滞る

過度に思い憂えることによって、五臓の気が消耗し、気血が滞り不具合が生じます。思い煩う、イライラ、胸の中がざわざわする、不安感、食欲不振、不眠などの症状が現れます。

②「気血」が不足している

気は生命を維持するエネルギー、血は精神活動の主な基礎物質となります。もし過労や睡眠不足、無理なダイエツトなどで気や血が不足すると、身体のだるさや食欲不振、めまい、不眠、動悸などの症状が現れます。

五臓と七神・七情の関係の図は、うつ病を参照して下さい。

経絡治療の方針

パニック障害の方は、予期不安・広場恐怖を引きずっておられます。
不安・恐怖は五臓の1つである「腎(じん)」が消耗している状態ととらえます。

「腎(じん)」の消耗をカバーするために、「心(しん)」がオーバーワークしているため精神の集中を欠いて動悸や胸部の不快感、不眠などが起こります。「心(しん)」と「腎(じん)」のネットワークの流れに滞りが生じていると診て鍼灸治療をいたします。

パニック障害の方は、「腎(じん)」の消耗がはなはだしく、そのため「心(しん)」がオーバーワークしている内傷の状態ですから、改善までには日数を要します。

経絡治療は、ソフトに鍼と灸でツボにアプローチをして、身体の気血の流れを良くし、五臓のバランスを整えることによって、気血の滞り、気血の不足、「腎(じん)」や「心(しん)」の不調を改善していきます。

身体のこわばりのある方には、「ゆる体操」をお勧めしています。

「うつ病」の鍼灸治療は、症状別お悩み相談をご覧下さい。

(参考資料 『はりきゅうで「うつ」は治る。』『合類醫学入門』『脈から見える世界』『大成論和語鈔』)

⇒「セルフお灸」によって自律神経を整えよう!⇒「セルフお灸」によって自律神経を整えよう!

⇒鍼灸がうつ症状を改善 専門医が学発表 ― 日刊ゲンダイ

⇒イギリスの研究でも支持されたうつ病への鍼灸の効果 - アメリカ

⇒鍼灸カウンセリングと同程度の効果をうつ病に発揮するというイギリスのレポート

⇒女性のうつや不安障害に鍼灸が効くというアメリカの研究


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